凄い絵本

社団法人 農山漁村文化協会 みその絵本

みその絵本 (つくってあそぼう)

みその絵本 (つくってあそぼう)

何が凄いかってこれ絵本の形をした別の何かだからだ。
確かに40に満たないページ数と大柄なサイズ、漢字にはルビが振ってあるなど絵本としての体裁は整えてある。
だがしかし待って欲しい。
絵本の読者としてのターゲットは何処にあるのか。
自身を思い返してみて絵本を読んでいた年頃を思い出してみて欲しい。
大体小学校低学年くらいだろう。
少し難しいものでも小学生の範疇に納まるのではなかろうか。
この絵本は確かに小学生でも読める。読めるが内容としては中高生からといわざるを得ない。
とんでもなく頭の悪い学生ならそれでも厳しいかもしれない。

内容としては味噌の歴史、種類、作り方、雑学などがコンパクトにまとめられ、絵本らしく絵や写真で分りやすく説明されている。
読者に優しく語り掛けるような文章で全てにルビが振ってあるので読めない漢字は無いだろう。

するとリパーゼ、アミラーゼなどの単語が細かい説明もなしに登場する。
歴史を説明するところでは孔子論語が出てきて最古の農業技術書『斉民要術(せいみんようじゅつ)』まで登場する。
振り仮名がなければ大人でも読めないような単語がちらほらと出てくる。
巻末あたりには親御さん用ですとでもいうのか細かい解説とどう考えても小学生は習わない計算式が敷き詰められる。
文庫本のような内容だ。

何よりも素晴らしいのがその分りやすさだ。
絵本という形式という可能性を感じさせられるものだった。
フルカラーで印刷された大判の本というものは此処まで情報を伝えるのかと。

絵本の予算を使って作りたいように作ったんじゃないかと疑える出来だ。
ただこれを理解しきる子供(小学校低学年程度)がどれだけいるかは疑問だが。