中国の時代

ジム・ロジャーズ中国の時代

ジム・ロジャーズ中国の時代

良作、ではあると思う。
2008年リーマンショック以前に書かれたもので中国の現状(当時)と過去を振り返って知的な文章で飾りたてた本。
だがある程度ポジショントーク的なものが含まれていると思っていい。
毎年のように予言や予想を外す的外れな自称経済評論家達とは違ってそういった内容は無い。
予言や大胆で奇抜な予想(根拠の怪しい)をせず現状を見つめそれに対して読者に疑問を投げかけるスタイルというよくある書き方をされている。
中国を前面に出してるけど薦めているわけではないし中国も暗い面ばかりじゃないよ!って感じなんだが、なんと言うか本当に暗い部分というかブラックスワン的な部分をあえて避けているような気もする。
リーマンショック以後に書かれた本からシンガポールで永住して「中国語」を娘に教えているってので、気づいてないわけではないのだろうなと。
まだ読了していないがストリート・スマートで触れているように中国語って言っても政府が標準語として定めている北京語の他にも広東語や他の中国言語が多々ある。台湾を中国の一部として扱っていることも気になるし。
ジム・ロジャースがシンガポールに拠点を構えるのは利に適っている。
ビジネスの集積地として作られた国家で、中国だけでなくその他のアジア各国どころか世界中と繋がる場所だからだ。
だがシンガポールは中国ではない。一つの国だ。
日本でも方言ごとの差異は別言語として考えられうるものだが人口と土地面積の兼ね合いで現状を維持している。
北京語広東語上海語客家語それと台湾語(台湾は独立国家と認識するが)
それによる軋轢も日本の十倍以上あっておかしくない。
もし中国でブラックスワンが飛び立ったのならばそれはクリミアどころの騒ぎではないだろう。
チンピラ同士のいざこざでアレだけの騒ぎを起こせるのだ。
密造されて押収される銃器も日本とは比べ物にならないあほみたいな量だ。
押収も氷山の一角だろう。
今後規制が開放されて良くなるようなかかれ方も気になった。
リーマン・ショックのダメージが比較的見えにくかったのもグローバルと完全には繋がっていなかったからなのもあると考えるからだ。