ファーマゲドン

ファーマゲドン 安い肉の本当のコスト

ファーマゲドン 安い肉の本当のコスト

工場型畜産は残酷だよ。
合理的に見えて合理的でもないよって内容。
こういう種本になりやすい本ってのは左翼と呼ぶのも汚らわしい糞以下の連中に棍棒として扱われやすいからその時点で眉に唾して読むのだけれど内容としてはまぁそうだろうね的な。

感想としては米国一人当たり一日250gから300gは肉食べすぎだろう。
ステーキにしてもかなりでかいぞ。

話としては環境問題や動物愛護に終始してるのだけれど政治の問題や経済的な搾取、トレーサビリティや健康的なリスク、あとブラックスワン的なリスクも示唆している。
英国の人らしく英国に立脚した文章だったが日本について考えてみるとなかなかおっかない想像も出来てしまう。
冒頭で静岡大学大学院の人が言っていた偏在する飼料生産国に何かあった場合に畜産業界に混乱が起きるだろうという事。
中国で行われている無秩序な薬品の投与による病原体の進化。
可能性は低いが起こりうる事で起こった時に非常に影響が大きいという点でまさにブラックスワン的ではないだろうか。

特に中国のは危険だ。
心配されるのがパンデミックだが最悪と思われる想像をしてみよう。
大規模畜産は規制できたとして例えば豚100頭未満の中小規模農家に目は届かないだろう。
実際には大規模農家も所々ごまかすのかも知れないが、まぁそれはおいといて進化した病原体(菌かもしれないしウィルスかもしれない。もしくは体内で何らかの毒性が精製されるかもしれない。)によるパンデミックが起きるとする。
中国政府や何らかの国際機関が対処しようとするだろう。
問題は病原体を進化させた小規模農家は複数いてしかも個々に投薬方法や畜産の手法がそして環境も異なるという事。
鶏にしろ豚にしろ牛にしろ複数の病原体が進化しそれが広まればその対処は困難を極めるだろう。
しかもそうした畜産の集積地であり消費地の都市部は人口が多くまた密集している。
家畜から人へ感染する際に更に進化することも考えられる。
そうなったら現代の蝗害だ。
中国という大国の混乱は国際的にも混乱を巻き起こすだろう。
十数億の人口を擁する国家の混乱である。
現時点で権力は複雑に絡み合い闇の市場では夥しい銃火器が取引されそもそも火力を担当する軍閥も複数に分かれている。
警察やそれに類する組織の装備の重厚さも日本のそれ以上だ。
これを火種に政治その他まではじけたら、もう世界中知っちゃかめっちゃかになるだろう。

そういった恐ろしい想像も出来る内容の本だった。
そういったリスクの想像は本書の本筋ではないが様々なリスクを想像させてくれるものであった。